
図面やカタログに書かれたA5052P-H34A6063-T5t2×40×40×4000といった表記を見て、何を意味しているのか分からず困った経験はないでしょうか。アルミの「規格」という言葉には、JIS規格・材料記号・流通しているサイズという複数の意味が含まれており、これが分かりにくさの原因になっています。
アルミの規格を読むときは、「合金番号」「形状記号」「質別記号」「寸法」の4点を順番に確認します。例えばA5052P-H34 t2×1000×2000であれば、A5052というアルミ合金の板材で、質別はH34、厚さ2mm・幅1,000mm・長さ2,000mmという意味です。
▼ 表記を4つに分けて読む
本記事では、A5052P-H34などの実例をもとに記号の読み方を分解し、見積もりや発注の際に確認すべきポイントまで解説します。
アルミの「規格」には3つの意味がある
「アルミ 規格」と調べる方が知りたい内容は、実は1つではありません。規格という言葉は、大きく次の3つの意味で使われています。
| 規格の意味 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| JIS規格 | 成分、機械的性質、寸法許容差などを定めた規格 | JIS H 4000、JIS H 4100 |
| 材料の呼称 | 合金・形状・質別を示す記号 | A5052P-H34 |
| 規格サイズ | 一般に製造・流通している寸法 | 1,000×2,000mm、長さ4,000mmなど |
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JIS規格と、販売会社が掲載している規格サイズ表は同じ意味ではありません。JISに適合する材質であっても、すべての合金・形状・寸法が常に市場で流通しているわけではありません。
購入時には「材質が何か」と「そのサイズが実際に入手できるか」の両方を確認する必要があります。
アルミの規格表記は4つに分けると読みやすい
A5052P-H34を例に記号を分解する
一見すると暗号のような表記も、4つの情報に分けると簡単に読み解けます。
▼ A5052P-H34 を分解すると
つまりA5052P-H34は「A5052という合金の板材で、質別がH34のもの」という意味です。
商品カタログや図面によっては形状記号が省略され、「A5052-H34」と記載される場合もあります。表記の細部は販売会社や図面によって異なるため、必ず寸法図と併せて確認しましょう。
4桁の合金番号からアルミの種類を確認する
先頭の数字は合金の系統を表す
合金番号の先頭1桁は、添加されている主な元素による系統を示します。
| 合金系統 | 主な成分 | 主な特徴 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 1000系 | 純アルミニウム系 | 耐食性・加工性・熱や電気の伝導性に優れる | A1050、A1100 |
| 2000系 | Al-Cu系 | 強度と切削性に優れるが耐食性に注意 | A2017、A2024 |
| 3000系 | Al-Mn系 | 加工性・耐食性と強度のバランスがよい | A3003 |
| 4000系 | Al-Si系 | 熱膨張が比較的小さく溶接材料などに使用 | A4043 |
| 5000系 | Al-Mg系 | 耐食性・溶接性に優れ板材で広く使われる | A5052、A5083 |
| 6000系 | Al-Mg-Si系 | 押出性・耐食性・強度のバランスがよい | A6061、A6063 |
| 7000系 | Al-Zn-Mg系 | アルミ合金の中でも高い強度を持つ | A7075、A7N01 |
| 8000系 | その他の元素系 | 用途に応じて異なる特性を持つ | A8021など |
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4桁すべてを材質名として確認する
注意したいのは、「5000系だから同じ材質」ではないという点です。同じ5000系でも、A5052・A5056・A5083では成分も強度も、適した形状や加工方法も異なります。
実際の発注では「5000系の板」ではなく、「A5052」のように4桁の番号まで指定してください。
代表的なアルミ合金の違い
よく使われる合金を簡単に比較すると、次のような違いがあります。
A5052板材の代表格
耐食性と溶接性に優れた板材の代表格。筐体、カバー、看板など幅広い用途に使われる
A6061構造材・機械部品に
強度と耐食性のバランスがよく、構造材や機械部品に使われる
A7075強度重視の用途に
超々ジュラルミンと呼ばれる高強度材。航空機部品や治具など強度重視の用途に使われる
このように、合金番号によって適した形状や用途が変わります。
P・BE・Sなどはアルミ製品の形状を表す
合金番号の後ろに付く英字は、製品の形状を示す記号です。
P板・条・円板
BE押出棒
BD引抜棒
W引抜線
TE押出継目無管
TD引抜継目無管
S押出形材
FD型打鍛造品
例えばA5052PはA5052の板材、A6063SはA6063の押出形材を意味します。
ただし、同じ合金でも板・棒・管などすべての形状が一般に流通しているとは限りません。アングルやチャンネル、角パイプなどを選ぶ際は、商品名だけでなく材質と製法も併せて確認しましょう。
あわせて読みたいアルミの押出材と引抜材の違いがわかる!特徴とメリット・デメリットを比較しますH34やT5は加工・熱処理の状態を表す質別記号
基本となるF・O・H・W・Tの意味
質別とは、製造工程での加工や熱処理によって得られた機械的性質の区分のことで、JIS H 0001に規定されています。基本記号は次の5つです。
F製造したままの状態
O焼きなましによって軟らかくした状態
H加工硬化によって強度を高めた状態
W溶体化処理後の不安定な状態
T熱処理によって性質を安定させた状態
H32とH34の違い
H材の後ろに付く数字にも意味があります。最初の「3」は加工硬化後に安定化処理を行ったことを示し、末尾の「2」「4」は加工硬化の程度を表します。
一般にH34はH32より強度が高い一方、伸びは小さくなります。どちらが上位というものではなく、必要な強度と曲げ加工の有無などから適した質別を選ぶことが大切です。
T5とT6の違い
同じA6063でも、T5とT6では機械的性質が異なります。
合金番号だけを合わせて質別を省略してしまうと、必要な強度を満たさない材料が届く可能性があるため、質別まで指定して発注しましょう。
アルミに関する主なJIS規格
製品の形状によって確認するJIS規格が異なる
アルミのJIS規格は、製品の形状ごとに分かれています。
| JIS番号 | 対象 |
|---|---|
| JIS H 0001 | アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金の質別記号 |
| JIS H 4000 | アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 |
| JIS H 4040 | アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 |
| JIS H 4080 | アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管 |
| JIS H 4100 | アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 |
| JIS H 4140 | アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品 |
| JIS H 8601 | アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜 |
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あわせて読みたいアルミ表面処理の種類と選び方を徹底解説!目的別の特徴やメリットも紹介しますJIS番号の後ろの年は改正年を表す
JIS H 4000:2022のように、JIS番号の後ろに付く年は、その版が制定・改正された年を示します。
Webサイトによっては古い年版の情報が掲載されていることもあるため、設計や品質保証の場面で正式に引用する場合は、現在有効な規格を確認してください。(本記事の内容は2026年9月時点の情報です)
アルミのサイズ表記を形状別に確認する
板材は「厚さ×幅×長さ」で表す
アルミ板の寸法はt2×1000×2000のように表記します。tは板厚を意味し、この例では厚さ2mm・幅1,000mm・長さ2,000mmの板です(単位は通常mm)。
また、板材にはよく使われる定尺寸法があり、それぞれ次のように呼ばれます。
棒・パイプ・形材では表記方法が変わる
形状によって、寸法の書き方は次のように変わります。
| 形状 | 表記例 | 読み方の例 |
|---|---|---|
| アルミ板 | t2×1000×2000 | 厚さ2×幅1,000×長さ2,000mm |
| 丸棒 | φ20×L4000 | 直径20×長さ4,000mm |
| 丸パイプ | φ30×t2×L4000 | 外径30×肉厚2×長さ4,000mm |
| 角パイプ | t2×40×40×L4000 | 肉厚2×縦40×横40×長さ4,000mm |
| フラットバー | t6×W50×L4000 | 厚さ6×幅50×長さ4,000mm |
| アングル | t3×40×40×L4000 | 肉厚3×辺40×辺40×長さ4,000mm |
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A・B・Lなどの記号が指す箇所は、形状や販売会社によって異なる場合があります。数字だけで判断せず、必ず寸法図とセットで確認してください。用途によっては、角部のRや内寸・外寸の別、寸法公差の確認も必要です。
「規格サイズ」と「在庫サイズ」は同じとは限らない
JISで定められた製造範囲に含まれる寸法でも、常に在庫があるとは限りません。流通しているサイズは、メーカー・販売会社・材質・質別・表面処理によって変わります。
逆に、規格表に見当たらないサイズでも、近い規格品からの切断・加工や、条件によっては特注製作で対応できる場合があります。希望寸法に最も近い規格品を加工したほうが、費用や納期を抑えられるケースも少なくありません。
用途に合うアルミ規格を選ぶときの確認ポイント
使用環境と必要な性能を整理する
材料を選ぶ前に、次の項目を整理しておくと選定がスムーズです。
- 必要な強度はどの程度か
- 屋内で使うか、屋外で使うか
- 水分・海水・薬品に触れるか
- 曲げ・切削・溶接などの加工を行うか
- アルマイトや塗装を行うか
- 外観品質が求められるか
合金番号だけで選ばない
「A5052なら何でも同じ」「A6063ならすべて同じ強度」という理解は誤りです。
実際には、合金番号・形状・質別・寸法・寸法公差・表面処理・加工方法を組み合わせて、はじめて用途に合う材料が決まります。
見積もり・問い合わせ時に伝える項目
問い合わせの際は、次のチェックリストの内容を整理して伝えると、やり取りがスムーズです。
- 使用用途
- 希望する合金番号・質別
- 形状(板・丸棒・パイプ・アングルなど)
- 厚さ・幅・長さ・外径・内径
- 必要数量
- 寸法公差の指定有無
- 切断・穴あけ・曲げなどの加工の有無
- 生地・アルマイト・塗装などの表面状態
- 希望納期
- 図面や参考写真の有無
規格が分からない場合は用途・形状・寸法から相談する
図面に材質や質別が書かれていない、規格表に希望寸法が見つからない、どの材質が用途に適しているか判断できない。このような場合は、自分だけで材料記号を決めようとせず、ニッカル商工へご相談ください。
ニッカル商工では、アルミ板、角パイプ、丸パイプ、アングル、チャンネル、フラットバーなど、幅広いアルミ材を取り扱っています。材質名が分からない場合でも、用途・形状・必要寸法・数量・納期を整理してご相談いただければ、条件に合った規格品や加工方法をご提案できます。
材質名が分からなくても大丈夫です
用途・形状・寸法・数量・納期をお知らせください。条件に合う規格品や加工方法をご提案します。
各形状の詳しい取扱サイズは、以下の商品ページをご覧ください。
形状別の規格サイズを確認する
ニッカル商工の取扱サイズは、各商品ページでご確認いただけます。
アルミの規格に関するQ&A
A5052やA6063の「A」は何を表していますか?
アルミニウムまたはアルミニウム合金であることを示す記号です。この後ろに続く4桁の数字が合金番号です。
A5052P-H34はどのような意味ですか?
A5052という合金の板材(P)で、加工硬化後に安定化処理を行ったH34の質別であることを意味します。
A5052-H32とA5052-H34は何が違いますか?
同じA5052でも加工硬化の程度が異なり、一般にH34のほうが強度は高く、伸びは小さくなります。曲げ加工の条件や必要強度から選びましょう。
A6063-T5とA6063-T6は何が違いますか?
熱処理の工程が異なり、機械的性質も変わります。同じA6063でも同一材料として扱わず、設計条件に合う質別を確認してください。
JIS規格品なら、どの販売会社でも同じサイズを購入できますか?
いいえ。JISへの適合と、販売会社が在庫しているサイズは別の話です。取扱寸法・長さ・表面処理は会社によって異なるため、在庫確認が必要です。
アルミ板の3×6・4×8とは何ですか?
一般的な定尺寸法の呼び方です。3×6板はおおむね914×1,828mm、4×8板はおおむね1,220×2,440mmの板を指します。
規格表にないサイズも購入できますか?
近い規格サイズからの切断・加工や、条件によっては特注製作で対応できる場合があります。数量・形状・精度・納期によって適した方法が変わるため、図面を用意して相談するのがおすすめです。
アルミの規格は合金番号・形状・質別・寸法の順に確認しよう
「アルミ 規格」という言葉には、JIS規格・材料記号・流通サイズという複数の意味があります。
STEP1合金番号A5052など
STEP2形状記号P・Sなど
STEP3質別記号H34・T5など
STEP4寸法形状ごとの表記
A5052などの合金番号で材質を、PやSなどの記号で形状を、H34やT5などの質別記号で加工・熱処理の状態を確認し、最後に形状ごとのサイズ表記を読み解く。この順番を押さえれば、図面やカタログの表記で迷うことはなくなります。
また、JISに規定されている材質・寸法であっても、希望サイズが常に在庫されているとは限りません。発注時には材質だけでなく、質別・寸法・表面処理・加工・数量・納期まで確認することが、手配ミスを防ぐ最大のポイントです。
判断に迷ったときは、用途や図面をもとにアルミ材料の専門会社へ相談してください。
アルミの規格選び・手配は
ニッカル商工にご相談ください
ニッカル商工では、用途に合う規格品のご提案から切断・加工のご相談まで承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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