アルミ防水板(アルミ止水板)とは?価格・選び方・土のうとの違いを解説

アルミ防水板
台風やゲリラ豪雨による浸水を心配しつつ、「土のうでは間に合わないのでは」と感じていませんか。土のうは1袋20kg前後あり、必要な数をそろえて積み上げるには人手も時間もかかります。 そこで導入が進んでいるのが、軽量で繰り返し使えるアルミ防水板(アルミ止水板)です。ただし「防水」と付いていても完全に水を止められる製品ではなく、設置場所や想定浸水深に合った選定が欠かせません。本記事では、価格の考え方、土のうとの違い、失敗しない選び方、導入までの流れまでを解説します。 この記事の要点 アルミ防水板・アルミ止水板は、建物の出入口に設置して豪雨や河川氾濫による浸水を抑える設備です。土のうより軽量で短時間に設置でき、繰り返し使用できます。ただし、製品の高さや幅、床・壁の状態によって設置可否や止水性能が変わるため、現場に合わせた選定が重要です。

比較項目 アルミ止水板 土のう
設置の負担 少人数で設置しやすい 運搬・積み上げに人手が必要
止水性 密着構造で比較的高い 隙間から漏れやすい
使用回数 繰り返し使用できる 使用後の処分が必要になりやすい
保管 板と支柱の保管場所が必要 多数の土のうの保管場所が必要
初期費用 製品・施工費が必要 比較的安価

アルミ防水板・アルミ止水板とは

建物の出入口からの浸水を抑える設備

アルミ防水板(アルミ止水板)は、玄関、工場の入口、倉庫のシャッター、車庫、地下入口などに設置し、水が建物内へ流れ込むのを抑えるための設備です。 左右に支柱を立て、その間にアルミ製の板をはめ込み、床面と壁面にパッキンや止水ゴムを密着させて水をせき止めます。アルミは軽量で耐食性に優れているため、緊急時に人力で運んで設置する用途に向いています。使用しないときは取り外して保管できる「脱着式」が主流です。

防水板と止水板に大きな違いはある?

建物の浸水対策製品では、「防水板」と「止水板」はほぼ同じ意味で使われることが少なくありません。メーカーや施設によって呼び方が異なるだけで、構造や目的が大きく変わるわけではないのが実情です。 似た言葉に「防潮板」もあります。こちらは高潮や津波、海水を意識した呼称として使われることがありますが、明確な線引きがあるわけではありません。 そのため、名称の違いにこだわるよりも、止水高さ・漏水量・設置方法・重量といった具体的な条件を確認するほうが確実です。

完全に水を止められるわけではない

重要な前提として、「防水板」という名称であっても、完全止水を保証する製品ではありません。 止水板の性能は、製品単体の構造だけでなく、床面の凹凸、壁面の状態、シーリングの施工品質、止水ゴムの劣化、設置時の締め付け具合によって変わります。メーカー各社も、試験条件や設置環境によって漏水量が変わることを明記しています。 性能を客観的に比較する際は、JIS A 4716(止水板)のWs等級や、試験時の水深・漏水量といった数値を確認しましょう。「高性能」という言葉ではなく、数値と試験条件で判断することが失敗を防ぐポイントです。

ニッカル商工のアルミ止水板(防水板)の詳しい仕様・特徴については、 「アルミ止水板(防水板)製品ページ」をご覧ください。

アルミ止水板が必要になる施設・場所

工場・倉庫

製造機械、制御盤などの電気設備、原材料、完成品を守る目的で導入されます。浸水によって設備が故障すれば、修理費だけでなく生産・出荷の停止による損失が発生します。大型シャッターや広い開口部には、中間支柱を使って複数の板を連結する仕様が用いられます。

店舗・ホテル・オフィスビル

店舗入口、地下への入口、エレベーターピット周辺の浸水を防ぎます。営業停止や設備故障は、そのまま売上と利用者への影響につながるため、優先度の高い対策です。

マンション・住宅・車庫

エントランス、玄関、地下駐車場、車庫への浸水を抑えます。この用途では、実際に設置するのが高齢者や女性である場合も想定されるため、1枚あたりの重量を必ず確認してください。

設置を優先したい5つのケース

  1. ・ハザードマップの浸水想定区域に入っている
  2. ・過去に道路冠水や床上・床下浸水が起きたことがある
  3. ・地下や半地下に入口がある
  4. ・入口付近に機械や電気設備を置いている
  5. ・土のうの設置に必要な人員を確保できない

アルミ防水板・アルミ止水板のメリット

土のうより軽量で設置しやすい

土のうを何十個も運んで積み上げる作業と比べ、板と支柱を運んで組み立てるだけで済むため、少人数でも対応できます。大雨の警報が出てから設置を始めても間に合いやすく、初動を短縮できる点が最大の利点です。

比較的高い止水性能を確保できる

パッキンや止水ゴムを床面・壁面に密着させる構造のため、隙間から水が入りやすい土のうに比べて漏水を抑えられます。製品を比較する際は、漏水量と試験時の水深・幅をあわせて確認してください。

繰り返し使用できる

使用後は汚れを落として乾燥させれば、次の出水期にも使用できます。土のうのように大量の廃棄物が出ないため、長期的に見れば準備・撤去・処分にかかる負担を減らせます。

既存建物にも後付けしやすい

玄関、シャッター、柱、壁面などの形状に合わせて製作できるため、新築時でなくても導入できます。幅を細かく調整できる製品や、中間支柱によって広い間口に対応できる製品もあります。

アルミ止水板のデメリットと導入時の注意点

初期費用がかかる

土のうと比べると購入費用は高くなります。また、製品代のほかに支柱、現地調査、送料、施工費が必要になる場合があります。ただし、毎回の土のう準備にかかる人件費や、浸水した場合の復旧費用まで含めて比較することが大切です。

設置できない場所もある

次のような条件では、そのままでは設置できない、あるいは追加工事が必要になることがあります。
  • ・支柱を固定する壁や柱の強度が不足している
  • ・床の傾斜や凹凸が大きい
  • ・土、砂利、劣化したアスファルトの床面である
  • ・扉やシャッターの開閉と干渉する
  • ・支柱を立てるスペースが確保できない

床面や壁面の状態によっては、土間コンクリートの打設や補修などの下地工事が前提になります。

保管場所と定期点検が必要

板本体、支柱、締め付け部品をまとめて保管する場所が必要です。直射日光や高温多湿を避けて保管し、止水ゴムの剥がれ・凹み・亀裂、シーリング材の劣化を定期的に確認してください。年1回程度は実際に組み立てる訓練を行うと、緊急時に迷いません。

購入するだけではBCPにならない

止水板は「買って置いておく」だけでは機能しません。導入時には、次の項目まで決めておく必要があります。

  • ・誰が設置するのか(担当者は複数決めておく)
  • ・どの警戒レベル・どの予報で設置を開始するのか
  • ・夜間や休日は誰が対応するのか
  • ・部品と説明書をどこに保管するのか
  • ・設置後に内側へ回り込んだ水をどう排水するのか

アルミ止水板と土のう・水のうを比較

比較項目 アルミ止水板 土のう 吸水式土のう・水のう
初期費用 高め 低い 比較的低い
設置時間 短縮しやすい 数が多いと時間がかかる 比較的短い
人員 少人数で対応しやすい 複数人が必要になりやすい 少人数でも対応しやすい
止水性 密着状態が良ければ高い 隙間から漏れやすい 設置状態によって変わる
再利用 可能 難しい場合が多い 製品による
撤去 洗浄・乾燥で済む 水を含むと重い 吸水後の処分が必要
広い間口 連結して対応できる 大量に必要 大量に必要
向いている場所 工場、倉庫、店舗、施設 一時的な応急対策 小規模な入口、緊急用

使い分けの目安は次のとおりです。
  • ・一時的・低予算で応急対応したい:土のう
  • ・工事を避けて小規模に対策したい:簡易型止水板や吸水式製品
  • ・繰り返し使い、重要な設備や在庫を守りたい:アルミ止水板

アルミ止水板の価格はいくら?

価格は幅・高さだけでは決まらない

アルミ止水板の価格は、次のような要素の組み合わせで決まります。
  • ・止水板の幅と止水高さ
  • ・使用する板の枚数(積み重ねる段数)
  • ・中間支柱の有無
  • ・壁側支柱の仕様
  • ・マグネット式などの特殊仕様
  • ・現地調査の要否
  • ・施工・下地補修工事
  • ・送料や特注部品
製品価格を明示しているメーカーもありますが、それはあくまで標準仕様の目安です。設置場所の状態によって追加費用が発生する可能性があるため、実際の金額は見積もりで確認する必要があります。

見積もり前に準備する情報

問い合わせの前に、次の情報をそろえておくと話が早く進みます。
  • ・開口部全体の写真
  • ・左右の壁・柱の写真
  • ・床面の写真
  • ・開口部の幅(実測値)
  • ・希望する止水高さ
  • ・シャッターや扉の開閉方向
  • ・過去の浸水深
  • ・設置を希望する時期と、工事の可否

価格だけで選ばない方がよい理由

安さだけで選ぶと、緊急時に使えない設備になりかねません。1人で持てない重量だった、想定浸水深より止水高さが低く越水した、床面に密着せず漏水が増えた、部品が多すぎて設置ミスが起きた、といった失敗は珍しくありません。交換部品や点検にかかる費用も含めて総合的に判断しましょう。

失敗しないアルミ止水板の選び方

ハザードマップと過去の浸水深を確認する

まず、自治体のハザードマップで洪水・内水・高潮のどのリスクがあるかを確認し、想定浸水深を把握します。過去の道路冠水の記録も参考になります。止水板だけでは対応できない浸水深であれば、設備の移設やかさ上げなど別の対策も検討が必要です。

必要な止水高さを決める

過去の浸水深、ハザードマップ、道路と建物床面の高低差をもとに決定します。ただし、高くすればよいというものではありません。止水高さが上がるほど板は重く、水圧も大きくなり、避難動線の妨げになる場合もあります。

設置する人数から重量を選ぶ

夜間や休日の在館人数を想定し、1人で設置するのか2人で設置するのかを決めます。そのうえで、保管場所から設置場所までの運搬距離、段差や階段の有無、担当者が無理なく持てる重量かを確認してください。

設置時間と手順を確認する

工具が必要か、部品点数はいくつか、締め付け作業はどの程度か、中間支柱の設置に手間がかからないかを確認します。「説明書を見なくても設置できるか」は、緊急時の実用性を左右する重要な基準です。

止水性能の試験条件を確認する

漏水量、試験時の水深、板の幅、JIS等級をセットで確認します。実験値なのか保証値なのか、完全止水をうたっていないかもチェックしてください。

設置場所に合わせてオーダーできるか確認する

既存建物の開口部は、規格サイズにぴったり収まらないことがほとんどです。幅を細かく調整できるか、中間支柱や2段積みに対応できるか、シャッターとの干渉を避けられるか、床・壁の凹凸に対応できるかを確認しましょう。

保管・点検・交換部品を確認する

保管時の寸法、止水ゴムの点検方法、シーリング材の補修方法、交換部品の入手経路、保証期間まで確認しておくと、導入後に困りません。

設置場所に合ったアルミ止水板はニッカル商工へご相談ください

アルミ止水板は、カタログ上の性能だけでなく、現場との適合が導入の成否を分けます。 ニッカル商工では、設置場所に合わせて幅を1mm単位で調整したアルミ止水板を製作しています。
中間支柱を使用すれば3mを超える開口部にも対応でき、板を積み重ねて止水高さを確保する仕様や、マグネット式の仕様にも対応可能です。ホテルへの導入事例では、問い合わせ後に現地調査を行い、設置場所の条件に合わせた仕様をご提案しました。他社で「設置は難しい」と言われた場所についても、まずはご相談ください。

「自社の入口に設置できるのか分からない」「必要な止水高さを判断できない」という場合は、まず設置予定箇所の写真と寸法をご準備ください。現場の状況を確認したうえで、必要なサイズや仕様、概算費用をご案内します。

アルミ防水板・アルミ止水板に関するよくある質問

Q1.防水板と止水板は何が違いますか?
建物の出入口からの浸水を抑える製品では、ほぼ同じ意味で使われています。メーカーや施設によって呼称が異なるため、名称よりも止水高さ、漏水量、設置方法を確認することが重要です。

Q2.アルミ止水板は完全に水を止められますか?
完全止水を保証する製品ではありません。製品自体の性能だけでなく、床や壁の状態、止水ゴムの劣化、設置方法によって漏水量が変わります。

Q3.既存の工場や店舗にも後付けできますか?
後付けできるケースは多くあります。ただし、床面の傾斜や凹凸、壁面の強度、扉やシャッターとの干渉によっては、補修や追加工事が必要になります。

Q4.一人でも設置できますか? 製品の幅、高さ、重量によって異なります。緊急時に対応する人数を想定し、実際の担当者が運搬・設置できる重量かを必ず確認してください。

Q5.どのくらいの高さを選べばよいですか?
ハザードマップの想定浸水深、過去の浸水実績、道路と建物床面の高低差をもとに決めます。単に高い製品を選ぶのではなく、重量や避難動線も考慮しましょう。

Q6.設置工事は必要ですか?
支柱を壁や柱に固定するタイプでは工事が必要になる場合があります。一方、設置環境によっては大がかりな工事を行わずに設置できる仕様もあります。

Q7.使用しないときはどのように保管しますか?
汚れを落として乾燥させ、直射日光や高温多湿を避けて保管します。板本体だけでなく、支柱や締め付け部品もまとめて保管してください。

Q8.メンテナンスは必要ですか?
必要です。止水ゴムの剥がれ、凹み、亀裂や、シーリング材のひび割れなどを定期的に確認します。少なくとも年1回は点検と設置訓練を行いましょう。

Q9.止水板の補助金は利用できますか?
自治体によっては、止水板の購入費や設置工事費を対象とした補助制度があります。対象地域、建物、申請時期、補助率は自治体ごとに異なり、購入・工事後では申請できない制度もあるため、発注前に確認してください。

まとめ|現場に設置でき、緊急時に使える止水板を選ぼう

アルミ防水板・アルミ止水板は、土のうより軽量で繰り返し使える浸水対策設備です。設置と撤去の負担を大きく減らせる一方、完全止水ではないこと、現場との適合が性能を左右することを理解しておく必要があります。
選定時は、止水高さ、重量、設置人数、床・壁の状態、保管方法をあわせて確認しましょう。そして、購入して終わりにせず、設置訓練と定期点検まで運用に組み込むことが、実際の災害時に機能させる条件です。
自社の入口に設置できるか、どの高さが必要かが分からない場合は、設置予定箇所の写真と寸法を用意したうえで、専門会社に相談することをおすすめします。  





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